HiKaRu
創刊号(File #1:1999.10.21)

◆ 〜風太郎〜 Vol.1 ◆

風太郎は、静かで目立たない彼自身にしか過ぎないけれどもまたかけがえのない大きな彼自身であり、誰にも何にも依存はせず迎合もせず影響もされないけれどもそれらすべてをあるがままに受け入れて尊重しつつ、いつどこにいても同じ風太郎としてその環境に自然に調和している。

彼を知る多くの人々は、彼を特別個性の強い影響力のある人物としては捉えていない。彼の存在の有り様に気付かないからだ。

しかし、彼を知る人々全体からすればほんの一部なのだが、彼に踏み込んでかかわるすべての人々は、結果的に彼から大きな影響を受けることとなったし、人生を変えてしまった人も少なくない。

彼は、自分自身には限りなく厳しく、その気高くまた孤独ではかない後ろ姿は、手が届きそうに思わせても実ははるか遠くを歩いている。彼の後ろ姿を追い続けることでそれぞれの幸せを人々が掴むこともあるが、途中で追うのを諦めた人々は、追い続けた度合いが大きいほど多くを失うことになる。

彼の後ろ姿を追う人とは、自分自身を見つけようとする人や自分自身であり続けようとする人で、自分自身であることの幸せを手に入れた人は、彼のシンプルな素顔に触れる。

風太郎とかかわらずとも自分自身である人にとっては、彼は一人のただのそこにいる人にしか過ぎないはずなのだが、まだHIKARUは彼に影響されなかった人物に出会ったことはない。

彼は、人に影響を与えることを意図してはいないが、彼がそこに存在しているだけで多くの人々が結果的に彼から大きな影響を受けてしまうことになる。それは、多くの人々が心から愛せる自分自身を見つけたい、そういう自分自身であり続けたいと願うからだろう。

彼は、彼自身に踏み込んでくる人には厳しいし、そのなかの彼自身が愛する人には愛する度合いに応じてさらに厳しくなる。

かくいうHIKARUも、初めは自らおしかけて彼とのかかわりを始めたにもかかわらず、彼に愛される一人としての彼の厳しさに堪えられず逃げ出すことになる。そしてまた、彼の愛の深さを知り再び戻ることにもなるのだが・・・。結局通算四度にわたって彼から逃げ出し、その度に自ら舞い戻る経緯を経て、ある時を境に風太郎は優しいだけの彼に変わり、この頃のHIKARUは彼を思うままに有能な執事のように扱っている。

風太郎は、昔も今もほとんど変わってはいない。その時々のお互いの立場や関係は変わっても、彼は彼のまま、昔も今もいつもHIKARUの側につかず離れず存在している。そしてたぶんこれからもずっと・・・。

 

風太郎/Vol.2に続く


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