HiKaRu

第28号(File #28:2004.06.30発行)




◆ 〜ちさと〜 Vol.1◆

HIKARUが連れ戻したのは、幼馴染のちさとで、中学時代からのもはやお互いを知り尽くした何らの遠慮もない、ベースでの信頼に基づいたいい加減な関係と認め合う最も親(ちか)しい友人だった。

あらかじめ示し合わせていたわけではなかったのだが、ちさとはMy Thanks Giving Partyが引けた後HIKARUを待ってくれていたのだった。

会場の外に出ると、ちさとを交えてパーティーの出席者の中でもまた特に気心の知れた数人の仲間が、ちさと同様暗黙の了解のもとHIKARUを待ちつつ立ち話をしていた。

今回のパーティーは、風太郎とHIKARUの二人だけで必要な段取りをすべて整えてしまったので、つむじを曲げていた特別にHIKARUの親しい存在と自認する彼らを、ただ一人そんなことを気にも留めないちさとが、なだめとりなしてくれていたようだった。

二次会あるいはHIKARUの部屋での集まりを期待していた彼らを、まだ後始末があるからと解散させ見送った後、ちさととともにバーに戻ると、すでに帰り支度を済ませ花束が積み上げられたコーナーのテーブルで、風太郎が煙草をくゆらせながらテキーラのロックグラスを傾けていた。

ちさとと風太郎は、その日言葉を交わすのは初めてのようだったが、お互い最後の一線は超えなかった・・・、それも20年も以前にニューヨークのHIKARUの部屋のキングサイズのベッドが揺れて川の字に眠るHIKARUが起きるという理由からだったとのことだが、HIKARUの脇で二人は契りを交わしたという、HIKARUを介さずとも時折連絡を取り合うほどの気心の知れた間柄だった。

打ち上げの意味で、長い付き合いの様々な場面にまつわってきたキンキンに冷やしたブーブクリコをあらためて空けて、私達は気分の良い祝杯をあげたのだった。

ちさと/Vol.2に続く


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